フンドゥクは、マグリブの都市にあった昔のキャラバンサライ(隊商宿)です。中庭を囲んで建てられた閉じた建物で、旅の商人が家畜や商品とともに泊まりました。1階には中庭に面して倉庫や厩舎があり、2階は回廊が旅人の部屋につながっていました。大きな商店街沿いや城門の近くに建てられたマラケシュのフンドゥクは、起源がムラービト朝時代にさかのぼります。現存するものの多くは、サアド朝時代(16〜17世紀)のものです。 塩、砂糖、ヘナ、香辛料など、特定の商品に特化したフンドゥクもあれば、同業組合や、ワルザザートの人々のフンドゥクのように、ほかの地方から来た共同体を受け入れたものもありました。1960年代以降、多くが住居、店、工房に姿を変えました。2019年に発表された県当局の数字によると、メディナには96のフンドゥクがあり、その多くに職人が入っています。革職人、大工、織り手、寄木細工師、銅の彫金師、ランタン職人などです。
見どころ

修復されたフンドゥク・エル・バシャ
メディナ北部のアメスファ通り側にあるこのフンドゥクは、ダール・エル・バシャとベン・ユーセフ広場を結ぶ観光ルートの再整備事業の一環として、2018年10月から2019年11月にかけて全面修復されました。石畳の大きな中庭を、レンガ造りの2層のアーケードと木の扉が囲んでいます。同じ事業で、2020年から2022年にかけて、フンドゥク・セルサル、ブハビア、ハルブーシュ、ベンシュババ、タドラウィ、ミザーヌも修復されました。

ムアッシーヌ通りとダール・エル・バシャ通りのフンドゥク
いちばん訪れやすいグループは、この2本の通りの交差点周辺にあり、ジャルダン・スクレやダール・エル・バシャ美術館の近くです。エル・アムリやエル・ミザーヌなど、いくつかのフンドゥクは中庭まで入ることができ、2層になった店や工房が並んでいます。革製品、絵画、工芸品などです。回廊を見上げてみてください。彫刻を施した木製の持ち送りや楣(まぐさ)が残っているところもあります。

フンドゥク・セルサル
こちらもムアッシーヌ通りにあり、柱に支えられた2層の回廊をもつこのフンドゥクは、修復前から職人の工房や数人の画家が入っていました。1号と2号のフンドゥク・セルサルは、2020年と2021年に修復されました。写真は工事前の2015年のものです。
フンドゥク・ワルザジとフンドゥク・カバジ
ジャマ・エル・フナ広場のすぐ北、バブ・フテュ広場にあるフンドゥク・ワルザジは、かつてワルザザートの人々を迎え入れた建物で、いまは衣料品や土産物の店が入り、上階には銀のアクセサリーの店があります。同じくジャマ・エル・フナ広場の近くにあるフンドゥク・カバジは、築約100年で、素焼きレンガ、石灰、木の床や建具といった伝統的な技法で修復され、中庭を囲んで工房、特に革細工の工房や店が入っています。建築家リダ・ヒビビによるこの計画は、ヤング・モロッカン・アーキテクチャー・アワードを受賞しました。
実用情報
ワンポイントアドバイス
フンドゥクの入場は無料で、チケットは不要です。職人が仕事をしており、住居として使われているフンドゥクもあるので、開かれた中庭と回廊にとどまり、人や工房を撮影する前には必ず許可を取ってください。守衛や店の人が案内してくれた場合は、少額のチップを渡すのが慣例ですが、義務ではありません。入口にはフンドゥクの名前と修復事業の内容を記した看板があることがよくあります。2023年9月8日の地震で被害を受けた11のフンドゥク(カバジ、ミザーヌ、セルサルなど)は、アル・オムラーネ・グループによる新たな工事計画の対象になっています。工事のため、門が閉まっていることもあります。
アクセス
マラケシュのメディナ内。ムアッシーヌ通りとダール・エル・バシャ通りのフンドゥクは、ジャマ・エル・フナ広場からスーク・セマリーヌ、スーク・アタリーヌを通ってムアッシーヌ方面へ、徒歩約10分です。フンドゥク・ワルザジはバブ・フテュ広場、ジャマ・エル・フナ広場のすぐ北にあります。フンドゥク・エル・バシャとアメスファ通りのフンドゥクは、ベン・ユーセフ・モスクの北にあり、ジャマ・エル・フナ広場から徒歩約20分です。路地は車が入れないので、タクシーの場合はジャマ・エル・フナ広場の近くで降ろしてもらってください。
営業時間
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