路上で起こること

マラケシュのメディナにある狭く静かな路地

フランス外務省も英国の渡航情報サービス(FCDO)も、はっきりと伝えています。女性、特にひとりの女性は、しつこく注目され、ときには嫌がらせにまで発展することがあるということです。実際には、ほとんどが声かけや言葉による誘いで、それ以上のことはまれです。

声かけ

マラケシュのスークやジャマ・エル・フナ広場の周辺では、頻繁に声をかけられます。「ボンジュール、マダム」「Where are you from?」、褒め言葉、家族構成の質問、お茶の誘いなどです。その多くは客引きの手口ですが、しつこいナンパもあります。一方、店先に座っている商人は礼儀正しいのが普通で、困ったときに助けてくれるのも同じ人たちであることが多いです。

こうした声かけは、新市街、有料の庭園、カフェやレストランでは大幅に減り、きびきびと歩いているときも減ります。夕方に人通りの少ない路地を歩くときや、道の真ん中で地図を見ているときは増えます。

しつこい「ガイド」

いちばん厄介なのは、頼んでいないのについてきて、「道を案内します」と言い、最後にお金を要求したり店に連れて行ったりする若い男性です。この手口とそのバリエーションは、マラケシュで避けたい詐欺のガイドで詳しく説明しています。ひとり旅の女性には、さらに個人的なしつこさが加わることもあります。後をつけてくる、何度も戻ってくる、電話番号を聞いてくるなどです。

どう対応するか

基本の心得は、会話を始めない、言い訳をしない、感情的にならないことです。短く答えてあとは黙っているほうが、長い説明をするよりうまくいきます。長い説明は、相手に話の糸口と受け取られてしまいます。

無視して歩き続ける

ほとんどの場合、無視すれば十分です。サングラスをかけたまま、国や名前についての質問には答えず、足を緩めずに歩き続けましょう。出かける前にルートを確認し、オフライン地図をダウンロードしておいてください。道でまごつかないほど、声をかけられにくくなります。服装も関係します。場所や季節ごとの目安は、マラケシュの服装ガイドで紹介しています。

覚えておきたい言葉

モロッコ・アラビア語(ダリジャ)を少し使うと、フランス語や英語の長い文より効果があります。簡単に断れる相手ではないと伝わるからです。

  • 「La, choukrane」:いえ、結構です。基本の返事で、立ち止まらずに言います。
  • 「Safi」:もう十分です。話を打ち切るときに使えます。
  • 「Baraka」:たくさんです。もう少し強い言い方です。
  • 「Khallini f-hali」:ほっといてください。
  • 「Hchouma!」:恥を知りなさい。不適切な言動や行為に対してだけ使います。周囲の非難を呼びかける言葉で、通行人の注意を引けます。

フランス語なら、「Non merci, je connais le chemin(結構です、道は知っています)」で、たいてい足ります。

助けを求める

誰かにつきまとわれたり、攻撃的になったりしたら、店、カフェ、ホテルのフロントに入り、店主やスタッフに声をかけてください。しつこい相手はほぼ必ず立ち去ります。モロッコの通行人も、女性が迷惑をかけられていると、よく間に入ってくれます。

もっと深刻な場合は、観光客担当の警察である観光警察(ブリガード・ツーリスティーク)が、ジャマ・エル・フナ広場に事務所を構えていて、電話番号は05 24 38 46 01です。私服の警官もメディナを巡回しています。女性に対する暴力についての法律103-13号が2018年9月に施行されて以来、公共の場での性的嫌がらせは、モロッコでは犯罪です(刑法第503-1-1条)。性的な言動、行為、しぐさは、禁錮1〜6か月と、罰金2,000〜10,000DHに処されます。

宿の選び方

回廊から見たメディナのリヤドの緑豊かな中庭

はじめてのひとり旅なら、常にスタッフがいるリヤドがいちばん安心です。予約の前に、口コミや宿に問い合わせて、次の点を確かめてください。

  • 夜間もフロントに人がいて、どの時間でも電話かメッセージアプリで連絡がつくこと。
  • 迷路のようなデルブ(路地)の奥ではなく、タクシーが着く城門や通りから数分の場所にあること。
  • 部屋のドアに鍵がかかること。古い家屋では、必ずしもそうとは限りません。
  • スタッフがタクシー、ガイド、アクティビティの予約をしてくれること。

地区の選び方は、マラケシュのどこに泊まるかのガイドで詳しく説明しています。ムアッシーヌ、ダール・エル・バシャ、カスバは、昼のにぎわいと夜の静けさを両立しています。メディナが強烈すぎると感じるなら、ゲリーズのホテルのほうが、周りの目を気にせず過ごせます。

夜に着く場合は、リヤドが用意する送迎を予約しましょう。空港のロビーで運転手が待っていて、そのあとスタッフが徒歩で玄関まで案内してくれます。空港の窓口で乗るタクシーより高くなりますが、スーツケースを引いて暗い路地を探し回らずにすみます。手段と料金は、マラケシュ・メナラ空港から市内へのガイドに載せています。

昼も夜もひとりで移動する

ゲリーズの自由広場とモハメッド5世大通り

ベージュ色のプチタクシーが、いちばん簡単な移動手段です。乗る前にメーターを使うよう頼み、後部座席に座りましょう。プチタクシーは途中で別の客を乗せることがあり、これは合法で普通のことですが、FCDOは、不安を感じたら降りてかまわないと呼びかけています。ドアに書かれた番号を控えるか、さりげなく写真に撮っておきましょう。メーターの仕組みと夜間料金は、マラケシュでの移動のガイドで説明しています。

配車アプリについては、モロッコでは事情が少し特殊です。

  • Uber:2025年11月27日に復活し、観光輸送かVTCの認可を持つドライバーとしか提携していません。ドライバー名、ナンバー、ルートが記録されるので、夜は安心です。
  • Careem:マラケシュで引き続き利用できますが、VTCにはまだ完全な法的枠組みがありません。車とナンバーがアプリの表示と一致するか確認してください。
  • inDrive:旅客輸送の認可を持たない一般の人と結びつけるのが普通です。FCDOは、こうした無届けのドライバーと保険が不十分な車に注意を呼びかけています。避けたほうが無難です。

夜のメディナは、ジャマ・エル・フナ広場の周辺では遅くまでにぎわっていますが、住宅地の路地は早々に人通りが途絶えます。大通りを通って帰り、リヤドにいちばん近い城門までタクシーで行き、最後の路地が暗ければスタッフに迎えに来てもらいましょう。

ひとりでも安心して過ごせる場所

静かな環境で、声をかけられずに過ごせる、ひとり旅にとくに向いたアクティビティがあります。

庭園と静かな休憩

有料の庭園は、日中のオアシスです。メディナの中心にあるジャルダン・スクレは、スークから数分の場所でひと息つけて、敷地内にカフェもあります。ゲリーズのマジョレル庭園は、日時を指定してオンラインで買う電子チケットで入場します。開園と同時に入ると、混雑の前に園路を歩けます。豪華な雰囲気でお茶を楽しみたいなら、ラ・マムーニアの庭園は、宿泊客でなくても、館内のレストランかバーを予約すれば入れます。

ゲリーズのカフェ

新市街では、ひとりでテラス席に座るのはごく普通のことです。モハメッド5世大通りとその周辺の通りのカフェは、学生、家族連れ、会社員など、男女の客が入り混じっています。朝食、読書の休憩、観光の合間の静かなランチに理想的です。メディナでは、地元の人向けのカフェよりも、旅行者を受け入れているカフェレストランやテラス席を選びましょう。地元のカフェは、主に男性が利用しています。

ハンマム、料理教室、少人数ツアー

  • スパのハンマム:個室か少人数で、女性の施術者がつくプランなら、ひとりでも気楽に過ごせます。マラケシュのハンマムガイドでプランを比較しています。
  • 料理教室:ほかの旅行者と少人数で料理し、市場に寄ってから、食事を一緒にとることも多いです。マラケシュの料理教室のガイドを見てください。
  • ガイド付きツアー:バッジを持った公認ガイドがいれば、声かけを遠ざけられ、道に迷わずメディナを見て回れます。

ほかの旅行者と出会う

ひとり旅でも、孤独とは限りません。メディナのユースホステルには、女性専用ドミトリーのあるところもあり、ほぼどこにも共有テラスがあって、みんなで夕食を囲みます。夜の外出や小旅行の仲間を見つけるいちばん簡単な方法です。徒歩のガイドツアー、料理教室、アトラス、ウリカ渓谷、エッサウィラへの日帰りツアーでも、いろいろな国の旅行者に出会えます。

FCDOによれば、モロッコではデートアプリに安全上と法律上のリスクがあります。誰かと会うなら、人の多い公共の場所を選び、予定をリヤドに伝えておきましょう。

法律:男女の関係、アルコール、ラマダン

婚外の関係

モロッコ刑法第490条は、未婚の男女の性的関係に、禁錮1か月〜1年を科しています。刑法改正が数年前から議論されていますが、フランス外務省は2026年になっても、こうした関係は禁止されていると注意を促しています。FCDOによると、この禁止は観光地では一般に外国人旅行者に適用されませんが、モロッコ人には全面的に適用され、一方がモロッコ人のカップルには、施設が婚姻証明書の提示を求めることがあります。同性愛も犯罪で、フランス外務省によれば禁錮3年が科されることがあります。

アルコール

アルコールが合法的に提供され飲めるのは、免許を持つ店だけで、路上での飲酒は禁止です。FCDOは、粗悪な酒によるメタノール中毒死の例を報告しています。信頼できる店で出された瓶のものだけを飲み、グラスから目を離さないようにしてください。

ラマダン

ラマダン中(月の観測によりますが、2027年2月8日ごろ〜3月9日ごろの見込み)は、日中に人前で飲食や喫煙をするのは避け、肌の露出が少ない服装を選んでください。この期間は、アルコールの購入も人前での飲酒もできません。一方、夜の街はとてもにぎやかで、家族連れでいっぱいです。

健康と緊急連絡先

緑の十字が目印の薬局は、ゲリーズとメディナに数多くあります。いつもの薬は、元の包装のまま持参してください。医師やクリニックは、リヤドが近くの病院を知っています。医療事情はマラケシュの健康と医療のガイドで詳しく説明しています。出発前に以下の番号を登録し、滞在先の住所と予定を身近な人に共有しておきましょう。

状況 対処法または電話番号
路上で声をかけられる 答えずに歩き続ける、「La, choukrane」
偽ガイドがついてくる 店やカフェに入り、店主に頼む
深刻な嫌がらせや暴行 警察19(携帯からは112)
メディナでのトラブル 観光警察、ジャマ・エル・フナ広場、05 24 38 46 01
市街地の外 国家憲兵隊177
消防と救急車 民間防衛15
急病やけが SAMU 141
夜の到着 リヤド手配の送迎
夜の移動 メーター付きプチタクシーかUberで、最寄りの城門まで
アルコール 免許を持つ店でのみ

2026年10月時点の情報です。

さらに詳しく

専門家と一緒にメディナを回る準備には、マラケシュのガイド付きツアーをお読みください。拠点選びにはマラケシュのどこに泊まるかで地区を比べ、滞在中のそのほかの落とし穴については、マラケシュで避けたい詐欺を手元に置いておきましょう。